トウシューズの加工法-綺麗に見えるポワントの作り方-

トウシューズの加工って?

トウシューズの加工法


自分の足にぴったり合うトウシューズを見つけることができたらベストですが、


どうしても合わない部分がある…

もっとトウシューズがこうなればよいのに…


などと感じたことはありませんか?



そんなお悩みを抱えている方のために、今回は“トウシューズの加工法”をいくつかご紹介します。


合わない部分を自分で工夫して調整することで、より快適に踊れるようになりますよ。


ぜひ、いろいろ試してみて、自分に合った加工法を見つけてみてください!



トウシューズの加工法①:シャンクの加工

a.フルシャンクを1/2、3/4シャンクにする

フルシャンクのトウシューズをもっと柔らかく、足に沿うようにしならせたい場合は、シャンクを自分で折ったり切ったりすることで、1/2シャンクや3/4シャンクのトウシューズに加工することができます。


これによって、ソールにしなりが生まれ、足によりフィットしやすくなります。

加工前のフルシャンクと、シャンクを切り取った後の状態の違いは、下の写真をご覧ください。


シャンクを調節することで、足のラインに自然に沿い、見た目も美しくなります

加工していない状態
加工前
シャンクを折って加工していた状態
シャンクを折って加工した状態



1/2、3/4シャンクの作り方

① まず最初に、トウシューズの内側から、シャンクの上に貼られている素材を丁寧にはがし、シャンクを確認します。


もしシャンクに釘が打ち込まれている場合は、ペンチなどの工具を使って釘を抜き取ります。



釘を抜く
シャンクを見つける


②シャンクを見つけたら、ハサミやカッターを使ってシャンクをお好みの長さで切り取ります。


シャンクが硬く、切ることが難しい場合はペンチ等を使って折ると切り取ることができます。

シャンクをペンチで折る
シャンクの加工


作業の手順がわかりにくい場合は、ぜひ下の動画をご覧ください!

実際の加工の様子を見ながら、手順を確認することができます。



1/2シャンク(ハーフシャンク)・3/4シャンクのトウシューズの記事はこちら↓




b.シャンクを丈夫にする

ポアントは、履き続けるうちにシャンクが徐々に柔らかくなっていきます。


そのため、柔らかくなったシャンクを補強する方法として「トウシューズハードナー」を使うのがおすすめです。


ハードナーを塗布することで、シャンクを丈夫に保つことができます。


また、履き始める前にあらかじめハードナーで補強しておくことで、シャンクの劣化を防ぎ、トウシューズを長持ちさせることも可能です。


丈夫なシャンクの作り方

①シューズの内側から、シャンクの部分やシャンクの隙間からトウシューズハードナーを流し込みます。

シャンクを丈夫にする


②シューズの内側から接着剤を流すことが難しい部分は、写真のようにアウトソールの隙間から少しずつ流します。

ソールの部分に接着剤を塗ることもできますが、床との相性によっては滑りやすくなる場合があるので注意が必要です。

丈夫なシャンクの作り方



*こちらの「Jet Glue」というトウシューズハードナーがおすすめです。


「Jet Glue」は、海外のプロバレエダンサーの間でも広く知られており、多くのダンサーに愛用されています。




トウシューズの加工法②:ソールの加工

a. ソールを柔らかくする

トウシューズのソールにしなりを出したい場合、外側のソールにカッターで切れ目を入れます。

トウシューズの加工法 ソールを柔らかくする


写真のように、ソールにカッターで切れ目を何か所か入れると、土踏まず部分がしなりやすくなります。

また、トウ先からなめらかにしなりを出したい場合は、トウ先から土踏まずまでの部分にも所々切り込みを入れると、ソール全体がしなりやすくなります。




b. ソールを平らにする

ア・テールで立った時に、ソールが分厚く、トウシューズが左右にガタガタする場合に使える加工法です。


特にアダジオを行う際、この加工をするとグラグラするのを防ぐことができます。


ソールを平らにすることで安定感が増し、しっかりと立つことができるようになります。


平らなソールの作り方

平らなソールの作り方


①写真のように、ソールと生地の段差部分をカッターを使って薄く削っていきます。

トウシューズの加工法 滑らかにしたソール


②自分の好みに合わせて削る範囲や深さを調節し、ソールが平らになるように整えます。


トウシューズの加工法③:ヴァンプの加工

ヴァンプを長くする

ポアントで立った時に前に倒れすぎたり、甲が出すぎてしまう場合、ヴァンプ部分をかがると安定しやすくなります。


太めの糸を使い、下の写真のように足を包むようにかがりましょう。


タコ糸や刺繡糸など、太くて硬めの糸を使用すると、より効果的です。

また、ボックスが大きすぎたり、サイド方向へのサポートが欲しい場合にも役立ち、ポアントで立った際の安定感が増します。

ヴァンプのかがり方


解説動画はこちら↓



トウシューズの加工法④:プラットフォームの加工

ポアントで立った時に、安定しにくい場合に使える加工法です。


プラットフォームを加工することで、安定しやすくなります。


a. プラットフォームを平らにする

プラットフォームが丸みを帯びていたり、平らでなくてバランスが取りにくい場合は、まずプラットフォーム自体を平らに整えることが重要です。


平らなプラットフォームの作り方

①料理用のおろし器を使って、プラットフォームを平らに整えます。


トウシューズを履き、おろし器の上で何度か動かします。


擦るようにして、少しずつ削っていきます。

トウシューズの加工法 プラットフォームの加工


②プラットフォームが平らになるまで削っていきます。


解説動画はこちら↓




b. プラットフォームを安定させる

さらにプラットフォームをより安定させたい場合は、プラットフォームの周りをかがることで、ポアントで立ったときの安定感が増します。


安定したプラットフォームの作り方

針は太めの針またはカーブ針を使用し、糸は凧糸や麻糸など固めの糸を使って、プラットフォームの周りをかがっていきます。

プラットフォームのかがり方
プラットフォームのかがり方


プラットフォームのかがり方
プラットフォームのかがり方


①~④プラットフォームの周りの生地を少し取り、糸を針に引っ掛けて引っ張ります。

トウシューズの加工法


⑤この作業を繰り返し、プラットフォームの周りを一周かがっていきます。

より安定させたい場合は、かがる幅を細かくしたり、2周かがるとより効果があります。


詳しい解説動画はこちら↓



既にかがり済みのトウシューズ「ヌメロ1」「プロⅠP」はこちら↓




c.プラットフォームを丈夫にする

ポアントは履き続けることで、プラットフォームが潰れてしまいます。


そのプラットフォームを潰れにくくするために、トウシューズハードナーで強くしておくとプラットフォームがより丈夫になります。

丈夫なプラットフォームの作り方

丈夫なプラットフォームの作り方


①プラットフォームの内側に、トウシューズハードナーを流し込みます。


②流し込んだら、シューズを左右に傾けて、ハードナーがまんべんなく行きわたるようにします。


これによって、履き続けてもプラットフォームが潰れにくくなります。



トウシューズの加工法⑤:サイドの加工

足にあまり厚みがなく、トウシューズによって甲が隠れてしまい、綺麗に見えないと悩んでいる方におすすめの加工法です。

この場合、サイド部分を加工することで改善が期待できます。


a.サイドをカットする

サイドの生地部分を切り取ることで、トウシューズによって甲が隠れてしまうのを防ぎます。



サイドをカットする方法

①トウシューズのサイドの生地と紐(またはゴム)の部分の縫い目の糸を切り、分解します。

トウシューズ加工法 サイド


②分解したら、サイドの生地を甲が綺麗に見える高さまでカットします。

トウシューズの加工 サイド


③その後、もう一度元通りに生地と紐(またはゴム)の部分を縫い合わせます。

サイドの加工


解説動画はこちら↓



b. サイドを縫って縮める

また、分解して縫うのが難しいと感じる方は、サイドの余った生地を縮めて縫うことで、トウシューズが綺麗なラインになり、甲が美しく見えるようにすることができます。


サイドの縮め方

①下の写真のように、トウシューズを履いた時に余っている生地部分をつまみます。

サイドの縮め方


②つまんだ部分を縫って、縮めていきます。

トウシューズのサイドの縮め方


解説動画はこちら↓




トウシューズの加工をする前に…

トウシューズの加工法は、個人差が大きいため、自分に合った方法を見つけることが大切です。


必ず、急に本番前や本番前近くに加工するのではなく、練習用に加工したシューズを試してから履くようにしましょう。

自分の足にぴったり合ったトウシューズの加工を見つけて、快適に踊れるようにしていきましょう!

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